【離婚】親権者の変更

2019-07-02

未成年の子の父母が離婚する場合,父母の一方が未成年の子の親権者に指定されますが,離婚後,子の利益のため必要があると認められる場合には親権者の変更をすることができます。

 

一 親権者の変更とは

未成年の子の父母が離婚するときは,父母の一方を未成年の子の親権者に指定しなければなりません。
しかし,離婚後,子の利益のため必要があると認められるときは,家庭裁判所は,子の親族の請求によって,親権者を他の一方に変更することができます(民法819条6項)。

親権者の変更は,単独親権者の親から他の親に親権者を変更するものです。
そのため,親権者となった親が再婚し,その再婚相手が子と養子縁組した場合には実親と養親の共同親権となるので,非親権者の実親が親権者の変更を求めることはできません。

 

二  手続

1 親権者変更の調停または審判

親権者の変更は,子への影響が大きいことから,当事者の協議だけで行うことはできません。
家庭裁判所の親権者変更の調停または審判によらなければなりません(家事事件手続法39条,別表2第8項,244条)。
親権者変更の審判をするには,当事者の陳述を聴くほか,15歳以上の子の意見を聴取しなければなりません(家事事件手続法169条2項)。

 

2  戸籍の届出

親権者変更の調停が成立した場合や審判が確定した場合には,親権者となった親は,調停成立日または審判確定日から10日以内に,調停調書または審判書と確定証明書を添付して,親権者変更の届け出をしなければなりません(戸籍法79条,63条1項)。
また,子を変更後の親権者の戸籍に入籍させるには,家庭裁判所に子の氏の変更の許可の申立てをし,許可をとってから,入籍届をすることになります。

 

三 親権者変更の判断基準

親権者の変更が認められるには,子の利益のため必要があると認められることが必要となります。
具体的な基準としては,離婚時の親権者指定の場合の判断基準が参考となりますが,既に親権者が指定されていますので,単純に父母のどちらが親権者としてふさわしいかということではなく,親権者を変更する必要性があるかどうかも問題となります。

親権者の変更が認められる場合としては,①親権者が子の虐待や育児放棄をしている場合,②親権者が病気で育児ができない場合,③親権者が行方不明の場合,④親権者が死亡した場合,⑤非親権者の親が子を監護しており,子も非親権者の親との生活を望んでいる場合等が考えられます。

 

四 親権者が死亡した場合

親権者が死亡した場合,非親権者である親が親権者となるわけではなく,後見が開始します(民法838条1号)。
もっとも,未成年後見人の選任の前後に関わりなく,親権者の変更が認められれば,非親権者であった親が親権者となることができます。

未成年後見人と親権者の変更のどちらが優先するという規定はありませんので,どちらによるかは,監護の実績や子の意思を考慮して,どちらが子の利益になるかで判断されます。

 

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