【離婚】熟年離婚・高齢離婚(妻から離婚を求められた夫の対応)

2016-12-05

子が独立して子育てが終わった後や定年退職した後に,妻から離婚を求められることがあります。

夫からすれば,長年,夫婦として一緒にやってきたのに,なぜ今になって離婚を求められるのか理解できないかもしれませんが,長年,婚姻生活が続いていたからといって,夫婦関係が良かったとは限りません。

夫が気付いていなかっただけで,妻はずっと我慢していただけということがあります。

妻は,子育て中は子供のために我慢して婚姻生活を続けていたけれども,子育てが終わった後は自分のための人生を送りたいと考え,離婚を求めていることもあれば,妻は,夫が働いているうちは夫が家にいないので我慢できたけれども,夫が定年退職後,家にずっといることに,我慢できなくなって離婚を求めているということもあります。

このような場合,妻から離婚を求められた夫としては,どのように対応すればよいのでしょうか。

 

1 離婚に応じるかどうか

離婚を求められた夫としては,離婚したくない場合には無理に離婚に応じる必要はありません。妻が離婚したくても,夫が離婚に応じない限り,協議離婚や調停離婚はできません。

しかし,妻は,どうしても離婚したいという場合には,離婚訴訟を提起することができます。離婚訴訟では,裁判所が,婚姻関係が破綻しており,離婚原因があると認めれば,判決により強制的に離婚させられてしまいますので,夫としては,離婚訴訟になったら,どうなるのか考えて対応する必要があります。

浮気(不貞行為)等の明確な離婚原因がなくても,妻の離婚意思が強く,関係回復の見込みがない場合には婚姻関係が破綻しており,「婚姻を継続し難い重大な事由」(民法770条1項5号)があると認定されることがありますので,夫としては,単に離婚に反対するだけであったり,妻を非難したりするのではなく,妻がなぜ離婚をしようと考えているのか理解し,どのようにすれば関係が修復できるのか考えて,行動する必要があります。

熟年離婚や高齢離婚の場合,妻は長年積もり積もった思いがあって,離婚を求めていることがありますので,関係修復は簡単ではないでしょうが,夫としては妻との関係修復に向けて努力すべきです。当事者だけで話合うことが難しい場合には,夫婦関係調整(円満)調停(円満調停)の申立てをして,関係修復に向けて,家庭裁判所で話し合うことも考えられます。

 

2 離婚条件をどうするか

熟年離婚や高齢離婚では,住宅ローンの支払が終わっていたり,退職金の支払があったりする等して,夫婦に多額の財産がある場合が多いので,離婚に応じる場合には,離婚後の自分の生活のことを考えて,離婚条件について,きちんと話合いをしましょう。

慰謝料や財産分与等,離婚条件について,自分のケースでは相場がどれくらいなのか把握した上で,納得できる離婚条件であれば離婚に応じるというスタンスで,妻と話合いをするべきです。

相場からかけ離れた離婚条件を提案しても妻は応じないでしょうが,妻が早く離婚したいということであれば,話合いで,ある程度の譲歩は引き出せる可能性があります。

また,妻が,慰謝料,財産分与,年金分割について過大な期待を抱いて,離婚を求めている場合には,離婚条件の話合いをし,妻の期待どおりにはいかないと気付かせることで,妻に離婚自体を諦めさせることができるかもしれません(その場合でも,妻に不満は残ったままですので,夫としては,妻との関係回復に向けて努力はすべきでしょう。)。

 

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