【示談交渉】郵送する場合,郵便物を受け取った場合

2016-10-03

示談交渉の際,相手方に書面を郵送する場合や,相手方から郵便物を受け取った場合は,以下の点を注意しましょう。

 

一 相手方に書面を郵送する場合

相手方に書面を郵送する場合,プライバシー保護の観点から,相手方以外の人に中身が見られないよう,葉書ではなく,封書で送るのが原則です。あとで何を送ったか分からなくならないように,郵送した書面のコピーはとっておきましょう。

また,郵送の方法としては,普通郵便で送ることもありますが,後に裁判になった場合,相手方にどのような内容の書面を送ったのか証明しなければならないことがありますので,目的に応じて,郵便を使い分けます。

 

 

1 内容証明郵便

内容証明郵便は,誰が,誰に対し,いつ,どのような内容の書面を送ったのか証明する証拠となりますので,後で裁判となった時の証拠とするため,請求や主張を書面にまとめて,内容証明郵便で送ります。

また,時効の中断や契約の解除,遺留分減殺請求等,意思表示が相手方に到達したことが重要な事実となる場合には,配達証明付きの内容証明郵便を送ります。

 

なお,内容証明郵便を送る場合には以下の点を注意しましょう。

①内容証明郵便を送ると,相手方が心理的な圧力を受けることがあるため,穏やかに話を進めたい場合には,内容証明郵便ではなく,普通郵便で送ることも考えられます。

②内容証明郵便には,写真や図面等の資料を同封することはできませんので,資料を送る場合には,別途,普通郵便や書留で郵送することになります。

③相手方が内容証明郵便を受け取らない場合がありますので,内容証明郵便とあわせて,同様の書面を普通郵便または特定記録郵便で郵送することもあります。

 

2 書留郵便

書留は,手渡しされますので,相手方に対し,示談書や原本類等,重要な書類を郵送する場合には,書留で郵送します。

 

3 特定記録郵便

内容証明郵便や書留の場合,受取人が受け取らなければ,差出人に戻ってきますが,特定記録郵便の場合,郵便受けに入れるだけですので,受取人の関与がなくても,配達することができます。

また,特定記録により,配達された日時が記録されますので,郵便物が配達されたことを明らかにすることができます。

 

二 相手方から郵便物を受け取った場合

相手方から郵送された郵便物は,後で裁判になった場合の証拠となりますので,大事 にとっておくことが必要です。

その際,以下の点に注意しましょう。

 

1 原本に書き込みをしないこと

法律相談で,相談者の方から相手方から送られた書面を見せてもらった際,相手方から送られてきた書面(原本)に,相談者の方が反論等自分の主張の書き込みをしていたり,マーカーやアンダーラインを引いたりしていることが,時々あります。

しかし,相手方から送られてきた書面に書き込みをしてしまうと,誰が書いたのかわからなくなったり,元の書面の内容が分からなくなったりして,混乱や誤解を招くおそれがあります。

書き込みをする場合には,原本には書き込みをせず,書面のコピーをとって,コピーに書き込みをしましょう。

 

2 封筒は捨てないこと

相手方から送られてきた書面の封筒を捨ててしまわれる方がいますが,封筒は大切な証拠ですので,捨てないでください。

封筒がなければ,書面をどうやって入手したのか分からなくなりますが,封筒があれば,郵送されてきたことがわかりますし,封筒には,差出人の記載や郵便局の消印がありますので,何時,誰から書面が送られてきたのか分かります。

また,書面に作成者や作成日の記載がなく,作成者や作成日が分からないことがありますが,封筒があれば,差出人の記載や郵便局の消印により,書面の作成者や作成日を推測することができます。

封筒と中に入っている書面は,一体として証拠になりますので,封筒は必ずとっておきましょう。

 

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