【相続・遺言】相続法改正 自筆証書遺言の方式緩和

2019-02-06

相続法の改正により,平成31年1月13日から,自筆証書遺言の方式が緩和されました。
改正前は自筆証書遺言は遺言者が全文を自書しなければなりませんでしたが,改正により,相続財産の目録について自書する必要がなくなり,パソコン等で作成した目録を添付して,自筆証書遺言を作成することができるようになりました。

 

一 遺言書に添付する財産目録について自書が不要

改正後の民法968条では,1項で「自筆証書によって遺言をするには,遺言者が,その全文,日付及び氏名を自書し,これに印を押さなければならない。」と規定しておりますが,2項で「前項の規定にかかわらず,自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第997条第1項に規定する場合のおける同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には,その目録については,自書することを要しない。この場合において,遺言者は,その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては,その両面)に署名し,印を押さなければならない。」と規定し,遺言書に添付する財産目録については自書を要しないとして方式を緩和しています。
改正前は財産目録を含め全文自書しなければならなかったので,不動産や預金等財産が多数ある場合には相当な負担となりましたが,改正により自筆証書遺言を作成する負担が軽減されました。

財産目録について自書を要しないことから,財産目録として,ワープロで作成したもの,遺言者以外の者が代筆したもの,不動産の登記事項証明書,預金通帳の写し等を遺言書に添付することができます。

 

二 自書によらない財産目録添付の方法

1 ページ毎の署名押印

自書によらない財産目録を添付するにあたっては,財産目録のページ毎(自筆によらない記載が両面にある場合は両面)に遺言者が署名押印しなければなりません(民法968条2項)。
遺言者の署名押印が必要とされるのは,遺言書の偽造や変造を防ぐためです。

 

2 財産目録の加除その他の変更

改正後の民法968条3項は「自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は,遺言者が,その場所を指示し,これを変更した旨を付記して特にこれに署名し,かつ,その変更の場所に印を押さなければ,その効力を生じない。」と規定しており,自筆によらない財産目録についても加除その他の変更をすることができます(なお,改正前は加除その他の変更の規定は2項でしたが,改正後は3項になりました。)。

 

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