【民事訴訟】訴訟の終了

2015-03-17

民事訴訟は,裁判所の終局判決により終了するほか,和解をする等,当事者の意思により終了させることができます。

どのような事由により終了するかによって,解決までの期間や解決内容が異なってきますので,当事者としては,どのように訴訟を終わらせるかということを意識する必要があります。

そこで,これから訴訟の終了について簡単に説明します。

 

一 裁判所の終局判決による終了

終局判決とは,ある審級の手続を終結させる効果をもつ判決のことです。

本案判決(請求の当否についての判決で,請求認容判決,請求棄却判決,一部認容・一部棄却判決があります。),訴訟判決(訴えが不適法な場合に,訴えを却下する判決です。)があります。

ただし,三審制(第一審,控訴審,上告審)ですので,終局判決が言い渡されたからといって,直ちに訴訟が終了するわけはなく,上訴があれば,上級審で争うことになり,判決が取消される可能性があります。

そのため,上訴により取消される可能性がなくなり,判決が確定することで,訴訟は終了します。

 

二 当事者の意思による終了

民事訴訟では,処分権主義がとられているため,訴訟を終わらせるかどうかについても当事者の意思に委ねられております。

原告の意思による終了として訴えの取下げ請求の放棄

被告の意思による終了として,請求の認諾

当事者双方の合意による終了として,訴訟上の和解

があります。

 

1 訴えの取下げ

訴えは,判決が確定するまで,その全部又は一部を取下げることができます(民事訴訟法261条1項)。

訴訟は,訴えの取下げがあった部分については,初めから継続していなかったものとみなされますので(民事訴訟法262条1項),訴えの全部を取り下げると訴訟は終了します。

なお,被告にも本案判決を得る利益がありますので,被告が本案について準備書面を提出し,弁論準備手続において申述をし,又は口頭弁論をした後は,原則として,被告の同意を得なければ,訴え取下げの効力が生じません(民事訴訟法261条2項本文)。

また,訴え取下げの濫用を防止する観点から,本案について終局判決があった後に訴えを取り下げた者は,同一の訴えを提起することはできません(民事訴訟法261条2項)。

 

2 請求の放棄

請求の放棄とは,原告が,裁判所に対し,請求に理由がないことを認める意思表示をすることです。

原告が請求の放棄をすると,訴訟は終了します。

請求の放棄が調書に記載されたときは,その記載は確定判決と同一の効力を有します(民事訴訟法267条)。

 

3 請求の認諾

請求の認諾とは,被告が,裁判所に対し,原告の請求を認める意思表示をすることです。

被告が請求の認諾をすると,訴訟は終了します。

請求の認諾が調書に記載されたときは,その記載は確定判決と同一の効力を有します(民事訴訟法267条)。

 

4 訴訟上の和解

訴訟上の和解とは,訴訟係属中に,当事者が訴訟物である権利関係について互譲して和解をするとともに,訴訟を終了させる合意をすることです。

和解が調書に記載されたときは,その記載は確定判決と同一の効力を有します(民事訴訟法267条)。

和解の場合には,必ずしも訴訟物に拘束されず,上訴されることもないので,早期かつ柔軟な解決をすることができます。そのため,和解で解決することも多いです。

 

 

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