取扱業務案内 離婚

2014-07-16

1 離婚問題

夫婦問題に悩まれている方で離婚を考えておられる方、既に離婚を求めている方、あるいは、離婚を求められてお困りになられている方がいらっしゃることと思われます。

離婚については、話し合い(協議)で解決することもできますが、話し合いで解決できない場合には、家庭裁判所を利用して、調停や訴訟で解決することができます。

また、離婚にあたっては、慰謝料請求、財産分与請求、親権、養育費、年金分割等様々な問題がありますので、これらの問題についても、考えなければなりません。

 

2 離婚の手続

(1)協議離婚

夫婦は、その協議で、離婚をすることができます(民法763条)。

話し合いでの解決です。

(2)調停離婚

協議が調わなかった場合、家庭裁判所に調停を申し立て、調停で離婚することができます。

調停前置主義がとられており、原則として、訴えを提起する前に調停の申立をしなければなりません(家事事件手続法257条1項)。

(3)審判離婚

調停が成立しない場合であっても、家庭裁判所は、相当と認めるときは、当事者双方ために衡平に考慮して、職権で、事件解決のために必要な審判(調停に代わる審判)をすることができるため(家事事件手続法284条1項本文)、審判で離婚ができる場合もあります。

なお、審判に対し適法な異議が出されれば、審判は効力を失い(家事事件手続法286条6項)、訴訟をしなければならなくなります。

(4)裁判離婚

調停が成立しなかった場合、家庭裁判所に訴訟を提起して離婚を求めることができます。

裁判上の離婚をする場合には、以下の民法770条1項各号の離婚事由が必要です。

①配偶者に不貞な行為があったとき

②配偶者から悪意で遺棄されたとき

③配偶者の生死が三年以上明らかでないとき

④配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき

⑤その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき

なお、裁判所は、①から④までの事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる(民法770条2項)とされております。

離婚請求については、判決で離婚が認められる場合もありますし、和解で離婚ができる場合もあります。

 

3 離婚の際に問題となる事項

(1)慰謝料請求

夫婦の一方が不貞行為(浮気、不倫)をするなどして婚姻関係を破綻させた場合には、他方に対し慰謝料請求をすることができます。

(2)財産分与請求(民法768条)

離婚をした場合、夫婦の一方は、相手方に対し、財産分与を請求することができます。

財産分与は、夫婦が婚姻中に形成した財産の生産(清算的要素)が中心ですが、それに加え、離婚後の配偶者の扶養の観点(不要的要素)や離婚による慰謝料の観点(慰謝料的要素)が考慮されます。

夫婦に自宅があるけれども、その価値を上回る住宅ローンがある場合(オーバーローンの場合)、どうするか難しい問題となります。

なお、離婚の時から2年を経過したときは、請求できなくなるので(民法768条2項)、ご注意ください。

(3)年金分割

離婚に際し、厚生年金(報酬比例部分)、共済年金(報酬比例部分と職域部分)について、婚姻期間中の保険料納付記録(夫婦合計)の分割を請求することができます。

なお、平成20年4月1日以降の離婚で、第3号被保険者である被扶養配偶者(専業主婦)は、請求により、平成20年4月1日から離婚するまでの間の相手方の保険料納付記録を自動的に2分の1の割合に分割することができます(「3号分割」といわれています。)。

それ以外の場合には、当事者の合意または裁判所の決定により按分割合を決める必要があります。

(4)親権(民法819条)

夫婦に未成年の子がいる場合、離婚の際、夫婦のどちらか一方を親権者と定めなければなりません。

協議離婚の場合は、協議で一方を親権者と定め(同条1項)、裁判上の離婚の場合、裁判所がどちらか一方を親権者と定めます(同条2項)。

(5)養育費

親権者となった者は、他方に対し、子の養育のための費用(養育費)を請求することができます。

養育費の額については、養育費算定表により、算定することが一般的です。

(6)復氏(民法767条)

婚姻によって氏を改めた夫婦の一方は、離婚によって婚姻前の氏に復しますが(民法767条1項)、離婚の日から3か月以内に届け出ることによって、離婚の際に称していた氏を称することができます(民法767条2項)。

なお、離婚によって親権者となった者が婚姻前の氏に復したとしても、子の氏が当然に親権者の氏になるわけではありません。子が父または母と氏を異にする場合には、子は、家庭裁判所の許可と届出によって、その父又は母の氏を称することができます(民法791条1項)。

 

4 離婚問題でお悩みの方へ

夫婦の一方が離婚に反対している場合には、訴訟で離婚することになりますが、裁判離婚の場合には民法770条1項各号の離婚事由が必要です。

そのため、離婚できるかどうかについては、離婚事由があるかどうか、また、離婚事由の存在を立証する証拠があるかどうかが問題となります。

また、離婚のほかに、慰謝料請求、財産分与、親権、養育費等の問題があります。

慰謝料請求をするにあたっては、浮気・不倫、DV(ドメスティックバイオレンス)の証拠があるかどうかが問題となりますし、財産分与の場合には相手方にどのような財産があるか把握する必要があります。

さらに、離婚後の生活がどうなるかも考えた上で行動しないと、後悔することがあるかもしれません。

 

このように、離婚については様々な要素を考えなければなりませんし、今後の生活に大きな影響を与えることになりますので、離婚問題でお悩みの方は、弁護士にご相談ください。

 

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